丘で






気がついたとき、僕はもうここにいた。
動ける体はなくて、見える眼もなかったけれど、
僕の近くには地蔵さまというのがいるらしかった。

ヒトという生きものが、毎日地蔵さまにお祈りしていた。
帰りがけにいつも僕を蹴とばした。
地蔵さまの隣りには、大きな木があるらしかった。
ヒトは木の陰で休み、木の下で遊んだ。
帰りに僕を蹴とばした。
それから、僕に役に立たないと言った。
僕は悲しかった。

あるとき、ヒトが僕を持ち上げ、何か毛の生えた柔らかいものへ押しつけた。
何かはぐちゃぐちゃと潰れた。
ヒトは僕に汚いと言った。
僕は苦しかった。

またあるとき、僕は蹴とばされて池というところへ落ちた。
僕は水の底にいた。
僕は少しずつ崩れて、それから溶けていった。
僕は淋しかった。

あるとき、僕はふわふわと漂っていた。
僕はしだいに重くなり、ヒトのほうへと近づいて行った。
僕はヒトのなかに入り、地蔵さまを包み、木のなかへ吸い上げられた。
いたるところに僕はいた。
ヒトはいろいろな僕に祈っていた。
何もかもが僕だった。
僕は満たされていた。



目が覚めたとき、僕の目の前には大きな石があった。
石はどんどん僕に近づいて、僕はぐちゃぐちゃと潰れた。
そうして僕は死んだ。

























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